昨年末の準備段階では、新型コロナウイルス感染症の位置づけがどうなるか微妙なところであったため、オンラインも含めた開催も視野に入れておりました。しかし、今年度に入り、令和5年5月8日からこれまでの「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」になることが決まったため、基本的にオンサイト(対面)開催を前提に準備を進めました。その後もオンサイトの開催地となる東京都品川区大井町周辺では特に行動指針レベルが引上げられることなく開催できました。オンサイトの会場は、三菱鉛筆本社ビル2Fのセミナールームとしました。昨年度に引き続き、講演会前に会員総会を開催しました。各種会計および事業計画について報告がなされ、その後、次年度の代表に名古屋大学の山本徹也先生が決まりました。次回の講演会の開催会場や講演会テーマ設定などは、山本先生が他の役員の方々にご意見などをお聞きしながら進め方を検討されていくことになりました。当分科会では、高分子・ゲル・コロイド・分散系等の多様なソフトマテリアルを対象としています。
第8回は会場が三菱鉛筆ということもあり、本講演会のテーマ設定においては、「産業界側から興味を引くソフトマテリアルの研究および応用例」として、非常に幅広い業界から研究者を集い登壇していただくこととしました。大学からはエネルギー効率よく中空ポリマー微粒子を設計および試作された大阪公立大学の北山先生、また、産業界からはソフトマテリアルに関わりのある各業界からその業界を代表される三井化学株式会社・西本先生、花王株式会社・浅見先生、三栄源エフエフアイ株式会社・前田先生の3名の方々にもご快諾いただくことになりました。近年、産業界での研究は閉鎖的となり、発表となると断られるケースが多く不安に感じておりましたが、非常に幸運なことでした。4名の先生方には、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
講演会当日の会場には40名を超える参加者が集まりました。参加者は先生方から伝わってくる熱量を肌で感じながら、話に集中していたようでした。最新のご研究も含め、著名な先生方から多岐にわたるトピックスをご提供いただいたこともあり、講演後は参加者から活発に質問が寄せられました。また、その後の懇親会でも登壇者の先生方全員に参加していただくことができ、名刺交換だけなく、登壇時にできなかった質問なども積極的にされていました。
先生方からのご講演のあと、最後に分科会副代表・小野先生(岡山大学)から閉会の辞を賜りました。小野先生からは、ご講演いただいた先生方に改めて感謝の意をお伝えいただくとともに、材料・界面部会の部会長として、コロナ禍が明けたことで部会・分科会活動を今まで以上により活発に行っていく意気込みなどもお話いただきました。
コロナ禍が明け、基本オンサイト開催である第8回ソフトマター工学分科会は、今後の期待を含めた効果もあったためか歴代の会の中でも参加者が一番多かった会となります。特に懇親会後や開催後の参加者の皆様から「非常に面白かった」、「参加して良かった」などのご意見やメールをいただき、大成功だったと感じております。ただ、コロナ禍によって企業側からの学会への参加がオンライン参加に慣れてしまい、出張費削減や拝聴したいテーマだけの切り取りなどオンサイト開催にメリットを感じない企業も出てきていることは確かです。第7回で長尾先生が「学会活動も含めた研究活動のスタイルが再構築されつつあるように思います。」と言われることも非常に納得のいくところです。今回の開催をオンライン・オンサイト併用開催にすれば、さらに参加者も増えたかもれません。その点は今後の課題とさせていただきます。最後になりましたが、今回ご講演いただいた先生方、また参加いただいた皆様に重ねて御礼申し上げます。