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第10回ソフトマター工学分科会講演会

2025年11月28日(木)~29日(金)に、積水化学工業株式会社京都研究所にて第10回ソフトマター工学分科会講演会を開催いたしました。第10回目の節目として、今回は通常の講演会に加え、学生ポスター発表会、交流会、翌日の総合討論、(サントリー山崎蒸溜所見学)を企画し、初の一泊二日のスケジュールで実施いたしました。昨年に引き続き関西での開催となりましたが、当日は34名と多くの方々にご参加いただきました。

当分科会では、高分子、ゲル、コロイド、分散系等の多様なソフトマテリアルを対象としています。講演会では、学から3名、産から1名の講師にご登壇いただきました。

 

はじめに、本分科会代表の名古屋大学・山本徹也先生より開会の辞を賜りました。また、次年度の開催日ならびに開催地についても報告がありました。
講演①:「非平衡開放系ソフトマターの研究から見えてくる生命的な化学システムの特徴」という題目で、同志社大学の塩井章久先生にご講演いただきました。講演では、非平衡開放系+非線形の化学システムには化学工学的システムでの常識とは正反対の特徴があるということで、3つの特徴について詳しくお話いただきました。
講演②:「機能性コロイド材料設計における相転移挙動の制御とプロセス構築」という題目で、岡山大学の小野努先生にご講演いただきました。講演では、本ソフトマター工学分科会の発足の位置づけや経緯、マイクロ流路内での微粒子の調製、さらに化学工学会が目指す将来と本分科会の活動についてお話いただきました。
講演③:「ディスプレイ向け微粒子の設計・開発」という題目で、積水化学工業株式会社の山田恭幸氏にご講演いただきました。講演では、粒子圧縮の観点から、ディスプレイ材料として求められる機能や設計思想について、スペーサ粒子および導電性粒子を例に挙げてお話いただきました。
講演④:「プラスチック最表面を分子レベルでエンジニアリングする」という題目で、神戸大学の丸山達生先生にご講演いただきました。講演では、単純塗布により固体最表面に反応性基を提示する事例から、反応性基の表面密度制御を可能にした研究事例についてお話しいただきました。
夕食後の学生ポスター発表では、13名の学生さんに発表いただきました。参加者ならびに発表者はアルコールやソフトドリンクを手に、活発な議論が交わされていました。また、講演会ポスター発表終了後も、普段お話する機会の少ない先生、学生、企業の方々と夜遅くまでゆっくりと交流することができたかと思います。
翌日は総合討論後、希望者はサントリー山崎蒸溜所に移動し、ウイスキーが完成するまでの一連の工程について説明を受けながら蒸溜所の見学を行いました。貯蔵庫にて記念撮影を行い、見学後には様々な仕込み樽によるウイスキーの試飲を楽しみました。

 

第10回の節目ということで、新しい企画をふんだんに取り入れた講演会でしたが、参加いただいた皆様より「とても良い会であった」とたくさんのお言葉をいただきました。また、今回も分科会会員増強キャンペーンとして、ソフトマターのロゴ入りボールペンを作製し、こちらも大好評でした。

本分科会は、企業からの参加者が多い点が特長であるため、今後も産学連携の強化を図っていけるよう、引き続き講演会等を通じて取り組んでまいります。最後に、ご講演いただいた先生方、ポスターを準備いただいた学生の皆さん、ご参加いただいた皆様、そして会の準備から運営をしていただいたスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。